老いの手柄 (内田樹の研究室)、Something Orange -  オタクたちの「卒業」しない生き方。

生まれたときから現在の年齢までの「すべての年齢における自分」を全部抱え込んでいて、そのすべてにはっきりとした自己同一性を感じることができるというありようのことをおそらくは「老い」と呼ぶのである。
 新しいものに興味が沸き、いままで好きだったものが、精神の地層の下のほうへ押しやられることはある。でも、完全に「卒業」して、忘れ去ってしまうことは、まずないと思う。

 まるで違う話題に関する分析がこうして似たところへ収束していくのが面白い。どちらのエントリをも「分かる分かる」「うんうん」とか呟きながら読んでる俺は、そうすると立派なおっさんオタクなんですな。遅く見積もっても思春期頃、それ以降に自分の内面に何か大きな変化があったって気はまるでしない。「心はいつも十五歳」ってのにも通じそう。
 けど、世間一般では「子ども心を失わない大人」ってのが何か特別なものみたいに扱われてるところを見ると、「成長」という概念を、「脱皮」と捉えている人たちのほうが多数派なんだろうな。もし本当に外面は似たようなもんであっても精神世界の年齢に何十年もの差があるんだったら、そりゃ、コミュニケーション不全にもなろうってもんか。