川崎康宏『ガッツ&ブラッド 蒸気帝国騒動記』(GA文庫)

 うーむ、2年ぶりの馬鹿っぷり(注:誉め言葉)を堪能しました。なんか著者紹介の自虐っぷりに拍車がかかってるんですが、どうしたんでしょうか。
 しかしハイデマリー副長もすっかり染まりましたな。本人は断固否定するだろうが、端からはタイラーに感化されたヤマモト並みに見えてならない。あげくに「なんか帝都を揺るがすような大事件はないかな……」だし。
 とはいえ彼女では、今ひとつ「引っかき回しパワー」が足りない気はするな。もちろんグリフィス団長だって意図どおりに状況を引っ張ったわけじゃないんだが、エピローグの根拠無き自信がもっともらしいだけに。
 とはいえ奇才・川崎康宏といえど、2冊続けて家庭持ち四十男に主役を張らせるのは無理なんだろうなぁ。イラストも、もちろん今巻のほうが今風だし一般向けだとは思うけど、初期タイラーファンとしては前巻の団長の抜けっぷりは捨てがたい。*1 微妙にアメコミ風味なのも川崎氏の雰囲気に似合ってたし。もっともエピローグのご尊顔はなかなかのものでした。
 宮殿が配管とボイラーと煙突の塊だった理由も分かったし、この分だと設定されてるネタはまだまだあるんだろうな。どうか川崎氏初のシリーズ第3巻発行が達成されますように(お祈り)。

*1:もちろん今巻では凛々しく描かれてる、というわけはないんだが。