片山憲太郎『紅〜醜悪祭 下』(集英社スーパーダッシュ文庫)

 これはひどい、あんまりだ。読者の幸福値を根こそぎにしてどうする。アニメ化に浮かれて色気全開の営業部門、それとの因果関係は不明だが明らかに意欲・能力・プロ意識の少なくともいずれかひとつに深刻なダメージを抱えた作者、そしてその間を調整することも取り繕うこともできない編集部、という嫌な図式が目の前に浮かぶようだ。よくもまぁこれにISBNコードつけて文芸書に分類して全国に配本する気になったもので。アニメの宣伝パンフと呼ぶほうがよほどふさわしい。
 とりあえず、一緒に買ってきた他の作品を読んで気を落ち着けたら、『紅』4冊をまとめてブックオフ送りにするかどうか、脳内ラノベ作家列伝中の片山憲太郎の項を「『電波的な彼女』で鮮烈なデビューを遂げるも、三作を残し彗星のごとく消えていった」と修正するか否かを検討しよう。