時雨沢恵一『メグとセロン III ウレリックスの憂鬱』(電撃文庫)

 ラブコメ学園探偵団、ですな。セロン君が可愛いというか不憫というか、p.181のイラスト、えらいことになってますな。天然ものの破壊力を堪能しました。
 ところで本編の内容とはまるで関係ないんだけど、お話の舞台となる(世界|惑星)で大陸は一つだけしか存在が確認されてないって設定、なにか流行ってるのかしら? 『創世の契約』とか『〈本の姫〉は謳う』とか、*1 作風も設定されてる文明レベルもバラバラだけど、大陸内はそこそこ詳細な地図が作られる程度には踏破され尽くしてるのに、その外はまったく空白。「一つの大陸だけ」ではないが、『とある飛空士への追憶』も、「広大な海に隔てられた二つの大きな大地」は存在するけど、外洋向け大型水上艦は絶対にあり得ない世界だな。
 大型船や海洋勢力を出したくないとか、大航海時代を迎えさせたくないとか、なんだろう? *2 ロクシェとスー・ベー・イルなんか、空軍を組織できる技術レベルを持ち過去数百年以上にわたって争ってきたのに、「でっかい船に大きい武器と兵隊をいっぱい載せて、大陸の外をぐるっと回って無防備な後背の沿岸から侵攻しよう」とか思いついた人は一人も居なかったんだろうか。

*1:そういや、某御大のキレノア大陸もそうか。

*2:『疾走! 千マイル急行』だと、一見似たような舞台装置だけど、作中で外洋船の存在が明記されてるな。このあたりが作者の嗜好の差なのかしら。