藤春都『ミスティック・ミュージアム』(HJ文庫)

 ヴィクトリア朝ロンドンで文士(の卵)探偵って、またえらい渋いネタだ。この時代だとどうしたってジョナサンとディオやホームズやジャック・ザ・リッパーで黒博物館でドクター・カオスとマリアが跳梁跋扈する、灰と塵で暗くて陰惨でアグレッシブな雰囲気に脳味噌が染められてしまうんだが、ちょいと肩透かし。作者の人のイメージソースを知りたかったりはする。いやまぁ、巻末の参考文献を見る限り、俺なんかよりはよっぽど正しく当時を掴んでるとは思うんだが。しかし実は主人公より爺さんのほうがよほど活躍してるあたり、明るく爽やかでは済ませない指向はありそうだよなぁ。ま、とりあえず次巻or次回作待ち。

ミスティック・ミュージアム (HJ文庫)

ミスティック・ミュージアム (HJ文庫)