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807 :名無しは無慈悲な夜の女王:2008/09/22(月) 01:11:52
天国の神様のところへ一人の男がやってきた。
男は生きていた頃、作家だった。
「神様。今、地上では、私がかつて書いた作品でたいそうな問題が起こっていると聞きました」
「うむ。そのようだな」
「お願いです。私に地上の様子を見せていただけませんか」
「しかし、天国の住人は地上の様子を見ることが禁じられておるのだ」
男の頼みを渋る神様だったが、男があまりにもしつこく頼み込んできたので、男に地上の様子を見せることにした。
「地上の様子を見れば、とてもがっかりすることになるが本当にいいのだな」
「はい。かまいません」
男がそう言うと神様は地面に地上の様子を映し出した。
地上では、男のかつての作品が盗作されたという話題で持ちきりだった。
盗作の疑いがある作品は映画化され、その話題性から大ヒットした。
同時に男の作品も話題となり、増刷され、多くの人が買い求めた。
男は驚きながらその様子を見た。そして、地面には別の映像が映し出された。
問題の映画の監督が、男の遺族に電話をしていた。
「いやいや、今回のタイアップはうまくいきましたね。お互いに利益が出て何よりです。
ええ、今後ともよろしくお願いします。なんせ、遺された作品はまだまだいっぱいありますので……」
神様は地面を元に戻した。
自分の作品の扱いに失望したのか、男はうなだれている。
「どうだ、がっかりしただろう」
「はい。がっかりです。どうしてあの売り方を生きているうちに思いつかなかったのかと思うと……」