米澤穂信『儚い羊たちの祝宴』(新潮社)

 1編目からブラック米澤全開。いや、ブラックじゃなくダークか。「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ」という謳い文句どおり。なんとなく「後味の悪さに定評のある」とかいう肩書きを付けたくなってみたり。
 2編目は、うーん、ちょっと好みの外。そして3編目はオチがいいな。こういうのも叙述トリックというんだろーか。4編目、「赤子泣いても」ってそーゆー意味かい! で、ラスト5編目、なんか最後の一行の衝撃がそれほどでは……と思ってたら、こちらの「以下反転」部を読んで唸る。深い。
 それにしても、己がいかに古典を読んで無いかが思い知らされて悲しくなるな。いろいろ引用されたり著者名やタイトルや人物名で仄めかされてるもののうち、せいぜい2割程度しか読み取れん。なんとも我ながら勿体ない読み方だ。辛うじて、特別な羊について「知らないけど分かった」んだが、これは俺の勘が鋭いんじゃなく、俺レベルでも推測でき、かつ、出オチにならないヒントの出し方が巧いんだろうね。

儚い羊たちの祝宴

儚い羊たちの祝宴