細音啓『黄昏色の詠使い VIII 百億の星にリリスは祈り』(富士見ファンタジア文庫)

 そういやお話の最初の発端では、クルーエルが普通の人でネイトが特別な何ものか、かつ内面的にはむしろネイトがヒロインでクルーエルが主役であるような立ち位置だったんだよな。それがこう組み替わってくるわけね。構成といい設定といい、一巻時点でここまで構成してたんだろうか。いやいや、プロになれる人の構成力ってのはたいしたもんだ。で、その嗜好が全開されたか恐ろしく説明が多いのに、怪獣大決戦のおかげかサブキャラの過去話のせいか、ちゃんと小説になってるってのも、たいしたもんだなぁ。
 さて次巻で第二楽章クライマックスだそうで、俺の脳みそから今巻の内容と設定が蒸発する前に読めますように。もちろん兼業作家で2年弱で9冊を、遅いというつもりはないんですけど。