『マップス・シェアードワールド 2 ―天翔る船―』(GA文庫)

 あらいずみマップス、よろしいなぁ。特にスペースパトロール総督ご夫妻がまるで違和感がない。ソフティカは「銘酒うらりょん」を飲んでるし。あろひろしのコミックも、なんとまた微妙なキャラを拾ってくることか。とりわけ(ヒイ)のエピソードが……

山本弘「勇者のいない星」

 いかにもマップス、正攻法。正面からの本編補間の試み、ですな。

友野詳「たった一つの冴えないやり方」

 面白いじゃないか。百鬼夜翔やらリボーンリバースやらルナル末期のあのgdgdっぷりはなんだったんだ。ひょっとして自分で世界を作るより、こうやって誰かの作った世界に乗っかるほうが向いてんじゃなかろうか、この人。

葛西伸哉「星になり損ねた男」

 自分でもかなりコーナーぎりぎりのクセ球を投げたつもりなのですが、他のメンバーに比べると「だが奴は我々の中では一番の小物」という張鳳気分を味わっておりますだそうで、実際、よくもまぁこんなマイナーなキャラを拾い上げてくるもんだ。でも話のテイストは山本弘と並んでマップスらしさがよく出てますな。*1 

新城カズマ「生者の船」

 前巻とはまた別の意味で、一人だけ、マップスのある要素からの連想を元に独自の妄想を展開してるな。それなりに面白いんだけど、これまた、「シェアードワールド」という題目の下でやるべきなんかどうかはよく分からん。というか、前巻同様、関係無い話の最後にちょこっと固有名詞を出しただけ、な気もしないではない。

笹本祐一「四枚目の星図

 ついに、ここまで誰も手を出さなかった、百の冒険の二つ目以降*2に、と思ってたら、まさかクロノアイズとリンクするとは。さすが、上手いなぁ。

 と、ほとんど文句なし大満足ではあるんだけど、以上で触れなかった残りもう一編がひどい。『みみっく!』でも、いくら何でもありを謳った同人誌であっても小説としての体を為してすらいない本能の叫びだけってのはさすがにどうかと思った御仁だな。
 ま、何を書こうがそれは構わんけど、「俺に書かせろ」な、マップスのファンによるファンのためのものであるはずのこの本で、マップスでやる必要がまるで感じられない。それどころか、基本設定そのものを破壊するようなネタをオチにもってきやがった。ビメイダーと自然発生人(ナチュラリアン)の○*3ってなんだよそれ。ビメイダーと自然発生人(ナチュラリアン)は違うもので、その差は埋めようがないもので、でも差は単なる個性と同等であり共に闘うにあたっては二の次にできるし友情も発生しうる、というポイントを無視した自己満足をやらかしてどうするよ。*4 しかも超つまらんし。

*1:c.f. 『マップス・シェアードワールド2 天翔る船』原作:長谷川裕一、葛西伸哉、笹本祐一、新城カズマ、友野詳、西野かつみ、山本弘、あろひろし、あらいずみるい、環望 ##豪華メンバーによる、マップス本の第2巻より、葛西伸哉さんとアーマードダイオンを応援## | Drupal.cre.jp

*2:あれ、マップス本編が一つ目で外伝のあれが二つめなら、これは三つめじゃなかろうか?

*3:一応こんなのでもネタバレに配慮して伏せ字。

*4:あとリープタイプ頭脳体の○転換ってネタにもかなりどん引き。二次創作のお遊びでもかなりギリギリひどい気はする。