米澤穂信『秋期限定栗きんとん事件 下』(創元推理文庫)

 堪能させていただきました、おもに小佐内さんの黒さと瓜野くんの悲惨な運命を。上巻のマロングラッセに引き続き、栗きんとんの製法をおいしそうに語るのが怖い怖い。なるほど題名も「マロングラッセ事件(仮)」からこれに変わるわけだ。
 ミステリ面を楽しむにはほど遠い出来の脳みその持ち主な俺的には、上巻読了時点では小鳩くんが下巻でえらい目に会うのを楽しみにしてたんだけど、この子もそんなあっさりひどい目にあってくれるような生やさしい子じゃなかったんだ。『秋期限定栗きんとん事件』――人でなしに恋はできない - Thsc小市民という仮面は、切れすぎる知恵者が社会に溶け込むための隠れ蓑ではなく、人間未満のバケモノがあたかも人であるかのように振舞うための姥皮だったのだ。という評に脱帽。
 なお、ミステリ面については一読して感想をこうして書いたあとに改めて「あぁ、これが伏線だったのね」ツアーを実施する予定。ガイドブックはhttp://dl.getdropbox.com/u/197374/fall1.txthttp://imepita.jp/20090307/841650*1あたりで。

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)