葉村哲『この広い世界にふたりぼっち Ⅲ 神狩の夜』(MF文庫J)

 なんとまぁこのバカップル。

「ところでシロ、お金は持っているんですか?」
「なんという、盲点」
「ふっ、資本主義経済とは恐ろしいものだな」

そして二人は、末永く、幸せに暮らしました、まる。まさしく『二人』でいることそのものが幸福である。閉じた世界の少女と狼幸福な結末を迎えましたとさ。その過程でなんか世界にも神様にもいろいろあったけど、そんなことはバカップルの幸せと、たぶんなんかの隠喩に満ちた美しい絵柄の前には、些末なことだったんでしょう、きっと。

この広い世界にふたりぼっちIII (MF文庫J)

この広い世界にふたりぼっちIII (MF文庫J)