林亮介『迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの』(GA文庫)

 サブタイトルがもう、これだけで、どれだけ良い人間関係ができて、そしてどれだけ死んでいくかを思わせて、ちょっと無いぐらい染みるタイトルだよなぁ。でもむしろ迷宮街の外での人死にが心に残るのはどうしたことか。常盤・児島組のエピソードが重い。ところで人間関係的には、次のハイライトは↓なのかな? お姫様とはほど遠い気もしないではないが、地の文でこう書かれているんだし、あの街的にはあれでお姫様なのかもしれないな。で、視点人物なんであんまりそういう感じはしなかったけど、真壁がお姫様感的な意味でももっと普通の人生観的な意味でも、実は一番壊れてる、とか。

この街の前衛はただ一人を除いて同じ感覚を味わっているらしい。真壁だけは感じたことがないらしいが、家来を壊そうと思う姫はいないのだから当たり前だ。

 あと、今巻の白眉だと感じたのはNHKの同行取材依頼に対する週末探索者殿の返事だな。何というシビアな優しさよ。この人を主役に、こうなるに至った状況に関する外伝が読みたくなってきた。

「ああ、もちろんいいですよ。お守りすると口だけで言うのは」

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)

迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの (GA文庫)