鳥羽徹『オルキヌス 稲朽深弦の調停生活』(GA文庫)

 口車魔神、降臨。
 基本的に掛け合い・話芸系のお話は好きなんだけど、それを極限まで煮詰めるとこういう代物が出来上がるのか。お見事。これに賞を出して出版したGA文庫の勇気に乾杯。『這いよれ! ニャル子さん』もそうだったけど、GA文庫はこういう路線でこれから突き進むのかしら。いいぞもっとやれ。

右手に左手を合わせるように。
阿の後に吽を返すように。
ボケられたら、突っ込まずにはいられない。
これこそが知性を持つ者の宿命。
この世に運命があるとすれば、それはボケの後の突っ込みだろう。

……実に気持ちよい断言っぷり。ああ、異星人とのファーストコンタクトにおける「相手を知性体と認めるか」の判定条件とか、人工知能チューリングテストの勝利条件に、「ボケに適切に突っ込むこと。また、適切な突っ込みポイントを持つボケを示すこと」を挙げる、という妄想が脳みそに居着いてしまった。