有大きな疑問:二足歩行ロボットによる月面探査:宇宙政策シンクタンク_宙の会

 そのような観点に立つと、「二足歩行ロボットによる月面探査」は、あまりにも“見た目重視”の単発的なイケメン計画としか思えない。自律型ローバーが自在に移動しているそばを、ロボットが二本足で歩く必然性は見えてこないし、どれだけの意味があるのか私には理解できない。二足歩行の技術が、質的に異なる宇宙インフラのロボット技術につながるとも考えにくい。
 また、かりに日本に「有人宇宙輸送」計画が存在したとしても、「二足歩行ロボットによる月面探査」は、生命維持活動には必要不可欠な宇宙服開発の技術にもつながらない。有人月面基地に欠くことのできない、閉鎖型生態系の開発にもほとんど貢献しないだろう。下手をすると、二足歩行ロボットを月面に送ることだけが最終目標になりかねない。

 「二足歩行ロボットで国威発揚」に対する真っ正面からの正論。まったく、こんな下らんお遊びに拠出できる予算があるんなら、全額を耳を揃えてNASAにでも寄付し、「人類全体の進歩」に役立ててくれるよう祈るほうが、百億倍はマシだ。