神代創『ディアブロガンナー』(幻狼FANTASIA NOVELS)

 人の心と人ではない力を持ち復讐に生きる男が街を渡り歩く、ってのがしみじみ好きなのかしら >作者。
 てなわけで面白かったんだがなんか薄味。『ソードジャンカー』でもそんな感じはしてたけど、心理描写があっさり控えめだよな。おかげでいまいっちょクライマックスの盛り上がりがもの足りぬ。もっとも、だからってこってりドロドロとした作品はそれはそれで「読んでて疲れる」とか思うんだから読者ってのは我が儘なもんだ。
 ところで、西部開拓期をモデルとして超自然要素を加味した異世界(おおむねリボルバー蒸気機関車な技術レベル)を舞台に、主人公は開拓民社会に属するがややアウトロー気味、重要な脇役として超自然要素へのスタンスが開拓民とはまったく異なる先住民(もちろんモデルはネイティブアメリカン)が存在、てな作品が最近になって増えてるような気がするな。『〈本の姫〉は謳う』『ドラゴンキラー』『此よりは荒野』『影執事マルク』。そういや忘れた頃にやってきた『レディ・ガンナー』もそうか。異能や特殊技能が無く知恵と勇気が人並みでも、テクノロジーと練習でなんとかできるかもしれないお話も好きなんで、ちょっとうれしい。