山本弘『滅亡の星、来たる―ダイノコンチネント』(徳間デュアル文庫)
これ、書くのが楽しかったろうなぁ。白亜紀にある材料と石器レベルの技術で紙とインクを作る方法だの、マイルとキロと21世紀の1日と白亜紀の1日という単位を混在させながらの小惑星の軌道計算だのといった設定もそうだし、いつものように作者の分身を心に宿したキャラがDQNを痛い目にあわせ、エロ要素あり、絵柄はまんま「女ターザン」*1であのシーンは『ゲートデーモンの仮面』。なんというか、ここまで「山本色」全開で、他の作者も参加するシェアードワールドとしてやっていけるのか、心配になるくらいだわ。*2
ところで、あとがきでこの手の異世界ものによくある「なぜかは分からないけどそうなっているんだ」じゃなく、SF的にきちんと筋を通しますので、ご期待ください
と言われたからにはぜひ期待したいんだが、何故に6500万年の時を越えて*3同じ惑星上に移動し得たのであろうか。人為的に調整された機械装置によるものではなく天然自然の現象なタイムスリップでそのあたりをきちんと辻褄を合わせてる作品ってあんまり記憶にないので、とっても期待。こじつけでも奇想天外で素っ頓狂な代物でもいいから、*4 なんらかの理由付けが欲しいなぁ。もちろんそのメカニズムを物語に絡めるかそれとも裏設定とかのレベルに留めるかってのは作劇上の必要性によるだろうし、そもそも空間的にも何千何万光年も離れている
としたうえで地の文の三人称超越者視点では一度も「タイムスリップである」旨を断言してないあたりを見ると、分かってやってそうな気もしないではないんだが。
滅亡の星、来たる―ダイノコンチネント シェアード・ワールド・ノベルズ (徳間デュアル文庫)
- 作者: 山本弘,葵華鋭
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/06/11
- メディア: 単行本
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