がっかり×2

『SF本の雑誌』(本の雑誌社)

 ガイドブックとしては中途半端。正直、これを読んで手に入れたくなった本があるわけじゃない。歴史書としても中途半端、記事が再録されてるだけで、当時リアルタイムに身を置いてなかった読者に状況が実感できるような解説がされてるわけでもない。評論としても中途半端、細切れ過ぎて個々の作品の面白さが伝わってくるわけでもない。てなわけで、全面的に期待はずれであった。『本の雑誌』それ自体に思い入れのある人とか、「冬の時代」とやらにリアルタイムで「論壇」にいた人なら、また違う感想があるんだろうけど。

石原藤夫, 金子隆一軌道エレベーター―宇宙へ架ける橋』(ハヤカワ文庫NF)

 えらく薄いと思ったら、あの労作「軌道エレベーターを扱ったSFのリスト」がまるまる削除されてやがる。サラッと「はじめに」に単行本版参照のことなんて加筆しやがって、なんちゅうもったいないことをしやがったんだ。作品リストで厚くなって少々お値段がアップしても、それを見て興味を持った読者が手に取る中に自社から発行してる作品が少なからず含まれることによる間接的な売り上げアップの効果のほうが遙かに大きかろうに。((ただし、単行本版のリストにある作品のうち、早川書房刊で現時点で在庫ありが何点あるか、は知らん。)) それともまさか、NF編集部としてはSFの売り上げがどうなるかなんか知ったこっちゃない、ってわけなのかね。