日昌晶『覇壊の宴』、『大いなる墓標―覇壊の宴〈2〉』(富士見ファンタジア文庫)

 こんな設定(展開)はイヤだ!part129での紹介が妙にツボだったので入手。これは実に素晴らしく嫌な展開が満載された怪作であった。よくこんなものを準入選にしたもんだ >ファンタジア長編小説大賞
 ディメンジョンゲートの向こうの中世魔法ファンタジー異世界と繋がってしまった我々現代地球人のやらかすことといったら、産廃や核廃棄物の処理場建設に軍の派遣、こっちの生物種の持ち込みによる生態系破壊。あげくは現地人から化鳥=鴉と呼ばれる地球人。しかも舞台設定だけでも嫌な話全開なのに、その上で繰り広げられるストーリーも動き回るキャラクターもまた、ラストのオチに至るまで嫌なネタ満載。あまりにも嫌な話だったんで速攻で続巻も確保。
 で、期待に違わず二巻目も嫌なネタがどんどん増える増える。新勢力ネイチャーエンジェルスの過去の所行リスト並べるのとか、楽しそうだよなぁ >作者。登場して人間性の欠片を見せ好感が持てるようになったキャラから順に退場していくし、*1 容赦のなさも見事。せっかく3巻に向けてのネタを仕込んだエピローグなのに、ここで打ち切られてるのが実に残念。もっとも、これが売れ行き良好だったとはとてもじゃないが思えんけど。

覇壊の宴 (富士見ファンタジア文庫)

覇壊の宴 (富士見ファンタジア文庫)

大いなる墓標―覇壊の宴〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)

大いなる墓標―覇壊の宴〈2〉 (富士見ファンタジア文庫)

*1:ただしギャグ時空に包まれて不死身の鈴木さんを除く。