ま、こうやってオープンに出てくる限りは、次はそこを直して何とかなるって信頼が置けるよね。

さる5月に、チャンドラヤーンの軌道高度を100 kmから200 km
に引き上げるというISRO(インド宇宙研究機構)の発表を耳に
した時、いくぶん「あれ?」と思った人もいたと思われる。私
もその一人である。ISROの説明によれば、それは「探査機軌道
の擾乱や月の重力の変動をもっと調査し、同時に月の表面をも
っと広い視野で観測する必要が出てきたから」ということだっ
た。「今更何を言っているのだろう?」というのが素朴な感想
だったのだが、実は月周辺の温度の計算を間違えていたらしい。
そしてそれが探査機の熱制御に思わぬ変調を来して、今回の思
わぬ交信断絶につながった。

ISROのミッション関係者は、月面の上100 kmあたりの温度を摂
氏75度くらいと考えていたのだが、実際はもっと高温で、機器
の変調を招いたために、高度を200 kmまで上げざるを得なかっ
たというのが真相だった。
インド宇宙機関(ISRO)のマドバン・ナイール総裁の発言によると、問題は熱だけでなく、放射線にもあったということです。
現在、専門家がインドに集まり、チャンドラヤーン1のミッションについての問題点を洗い出す会合を月曜日から行っています。ナイール総裁によれば、「我々は、探査機が(月面の熱輻射から)問題なく冷却されるように設計を行ったつもりであった。それによって、探査機の温度は40度程度に保たれる予定であった。しかし、ご存じのように、温度が上がると探査機器の故障の確率は上がる。これに加え、放射線の問題もあり、事態が悪化したのだ。そして、予定よりも早く、ミッションが終了してしまったのである。」とのことです。

さらに総裁はこう述べています。「これは間違えたというものではない。学んでいくという過程なのだ。未知の領域に入っていくときには、新しいことに出くわすものなのだ。その新しいことを学んでいくことで、将来の探査に活かされなければならない。」