麻城ゆう『新・特捜司法官S-A 10―ジョーカー外伝』(ウィングス文庫)

 大完結。いかなる続編もパート2も存在し得ない問答無用ズンバラリンなエンディング。しかしいまいっちょスッキリしないというかなんというか、秋津を主役として、その周辺で話をまとめようとするとこうなるというのは理解できるんだが、話のスケールの割にはこぢんまりと収束しちゃった気が。
 とか文句をいいつつも、ラスト、月での別れにはちょっとジワッときたなぁ。『JOKER』とはまた違った人間と特捜司法官のつきあいのスタイルとして。しかしこれ、連載ではこの「わがままな人々」の部分がなくて本書p.231の部分でバッサリおしまいだったのか。いくらページ数に限りがあるとはいえ、連載を追いかけたあげくにあれでおしまいってのは、なかなかにエグイ読後感だったんじゃなかろうか。