うえお久光『紫色のクオリア』(電撃文庫)(反転部ネタバレ)

 あちこちで話題になってたんで気にはしてたんだけど、ようやく入手・読了。確かに広く評価されるだけのことはある、なかなかに豪快で素敵なバカSF。こういう話ならそうと分かるように紹介しろよ >電撃文庫。おかげで今日までこれを読めなかったじゃないか。うえお久光×綱島志朗のタッグで贈る少し不思議な日常系ストーリー!というコピーからこの中身が想像できるわけがなかろうに。いやまぁ、SFだと謳ってしまうと売れなくなる、という営業的には正しい判断なのかも知れんけど。
 トライ&エラーと言ってもタイムループものとはまた一味違った、魔法を身につけて正義の味方をやったりノーベル平和賞をもらえる世界一の大富豪になって万物理論を見出すスポンサーになったりしたけど、まだそれでは足りないんで宇宙を作り直してみたりしましたという風呂敷の広がり方が凄い。妙に淡泊というか淡々とした語り口と相俟って、トリップしそうな気分。この酔いかたってなんか覚えがあると思ったら、随想 : 紫色のクオリアで紹介されてた。エマノンかぁ。
 ところで、彼女がフォトショで大胆に整形した写真を見ると、加工箇所だけが生身の肉っぽいCGに見えたりするんだろうか?

紫色のクオリア (電撃文庫)

紫色のクオリア (電撃文庫)