富永浩史『小説 馬車馬戦記 ディエンビエンフー大作戦』(AXIS LABEL)

 ラノベではずっと作家買いしてる人で、架空戦記も書いてるのは知っていながらいままで手を出してなかったんだけど、残念ながらというかなんというか、改めて「手を出さない方がいいジャンル」だと気付かされてしまった。もう29〜30ページの記述でいきなり挫ける。主人公がこれから果たすべき任務を知らされたあと、それに使う機体を知らされるシーン、どういう機体なのかの説明がほとんどゼロ。
 知ってる人であればきっと「えーっ、こんな機体でそんな任務をやらせる? ありえねーっ。いやでも、この時代この場所この状況ならそれもありか……」となる笑いどころらしいんだけど、その機体の由来やスペックなりをまったく知らない読者としてはもう何が何やら。「アルファがベータをカッパらったらイプシロンした。なぜだろう?」と言われて爆笑するドラえもんを傍から見てたら、きっとこういう気分になるに違いない。かといって俺レベルの読者でも理解できるように説明を入れれば、分かってる人からは「説明台詞が多すぎる、うざい」*1と思われるか、さもなきゃ「オタのスペック羅列小説」*2と評されること必至だろうし。
 あ、誤解のないように念のため、面白い面白くないとか出来がよい悪いという評価をしてるつもりは一切無しです。ただ単に俺という読者には向いてないジャンルだった、というだけのことで。

*1:例えば、『A=宇宙少女2×魂の速度』で天文学宇宙論の蘊蓄を延々と語るシーンとか。専門の研究機関のトップに「宇宙ヤバイ」コピペを朗読されてもなぁ。

*2:よくある、銃の型番とスペックを地の文に延々並べるタイプを想定してます。