葉村哲『天川天音の否定公式 3』(MF文庫J)(反転部ネタバレ)

 なんという天然ジゴロ。「そのままが一番だよ、天川は」「そりゃ覚えてるよ、瑛子のことなんだから」なんて台詞が自動的に出てくるなんて、ファッキンヘタレ・ザ・『釣った魚は飼い殺す』・鈍感大王ってのはどんな異能より脅威の謎能力だな。それにしても日常パートでは、いちいち「どっかのラノベで読んだ」感が漂う描写が次から次へと出てくるんだけど、p.108を読む限り、これはやっぱあえて「テンプレ的ラブコメ学園異能バトルのパロディ」をやってるんだろうか。いや、パロディというよりは、「そういうテンプレのふりをして皮を被りながら、どこまで作者の本当に書きたい方向*1へ暴走させるか」の実験のような気もするな。
 ところで、p.189にイラストがないのは、ひょっとして俺は乱丁を買ってしまったのだろーか。ここはないとおかしい、いや、なければならないところだろー。あとキャラ萌え的にはコッペリアが実に素敵で、ぜひこのペースで一巻一人ずつヒロインが増えてって欲しいと願ったのに……その素敵さこそが造られたものって、鬼畜展開やなぁ。

天川天音の否定公式〈3〉 (MF文庫J)

天川天音の否定公式〈3〉 (MF文庫J)

*1:徒然雑記 : 天川天音の否定公式 3 - livedoor Blog(ブログ)で示唆されてる方向、なのだろうか。確かに「滅びの神話」だといわれると、実にしっくり来る雰囲気だ。