菱田愛日『空の彼方』(メディアワークス文庫)(反転部ネタバレ)

 ファンタジー『中継ステーション』*1 こういう雰囲気のお話しは大好き。1話ごとに徐々に話が繋がって出来事の全体が見えてくる構成も素敵。武器屋とか魔法材店みたいな一風変わった切り口も好みだし。*2
 それだけに言語に関する雑さが残念。固有名詞がもろに英語*3な割に反国家勢力の呼び名が「レジスタント」だったりするぐらいまではギリギリで許すとしても、剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしたシリアスなお話しで秒殺で却下なんて発言をキャラにさせるなよ。で、そういうあれこれを「本作においては固有名詞はすべてなるべく同様の意味の英語の発音に置き換えられている」とかなんとか必死で自分を納得させようと思ってたら、ラストの一番いいところでキャラが日本語話者でなければ通用しない「(ソラ)……勘弁してくれ。
 あと、「望遠魔」って何をどうすれば発生する誤字だろう。入力や変換のミスでは生まれそうにないし、字の形状依存でもなさげだし、まさか元々本作の原型では「遠くを見るための魔法生物」とかが使われてて、それを今の設定に変更して修正する過程で生き残った誤字だったりするんだろうか。だとすると↑の言語の問題とあわせ、作者の脳内にある世界設定の全体像が知りたくなってきたりして。

空の彼方 (メディアワークス文庫)

空の彼方 (メディアワークス文庫)

*1:あ、このタイトルを書いたら思いだした。『多次元交差点』って続きは出るんだろうか。

*2:「ジェライラの鎧」もいまだに凄く印象に残ってる。

*3:地下にあって明かり取り窓等のまったくない店を評する台詞がこの店の何処がシャイニーなテラスなのだろうかってことは、たまたま音が似てる別の言語とかじゃなく、意味まで同じってことだろうなぁ。