川口士『漂う書庫のヴェルテ・テラ 2』(富士見ファンタジア文庫)

「……なんだっておまえはそんな駄目精霊としてこの世に生まれたんだろうな。物語に出てくる精霊ってのはどいつもこいつも主人公を助けてくれるのに」
『ジグが主人公ならば私だって健気に一途に甲斐甲斐しく尽くした』

 メタなギャグなのか、はたまた、過去にこの二人にとって「主人公」にあたる誰かがいて、そして失われた、とかの伏線だったりするのか、どっちにせよ、なんか妙にこの会話がツボに入ったな。うん、今巻も面白かった。聖堂をどうにかしたい理由も精霊と契約した目的もともかく徹頭徹尾本尽くし、実に清々しいぐらい変人だ。
 で、本文の面白さにはまったく文句はないが、イラストは相変わらずひどい。前巻の謎の薄さこそ直ってるものの、特にp.227。これ、本当に格好いいシーンにふさわしくプロとして金を取れる水準に達してると思って描いてるんだろーか。

漂う書庫のヴェルテ・テラ2(富士見ファンタジア文庫)

漂う書庫のヴェルテ・テラ2(富士見ファンタジア文庫)