静月遠火『ボクらのキセキ』(メディアワークス文庫)

 『パララバ』の人の2作目でこのタイトル! と期待していたのとはなんかちょっと雰囲気が違うな。主人公が軽いタイプの言動だからか、前作に感じた「綺麗な小品」という感じはしない。うーん、正直言って凡作。少し不思議方向へも切ない方面にもダークな路線にも踏み込みきらずに中途半端であっさりしすぎた感じ。不思議要素を無くしてリアルっぽくミステリー的な構成にしたくせに、クライマックス直前の追跡で、偶然にGPS付き携帯が存在し通りかかったときになぜか気になった、なんて要素に頼るのも興醒め。バトルも長すぎ、というかそもそもバトルがこの作品に必要だとした意味が分からん。バトルをごっそり削るなりもう少しページ数を増やすなりして、周り全てを疑って疑心暗鬼になる展開のほうが好みかも。

ボクらのキセキ (メディアワークス文庫)

ボクらのキセキ (メディアワークス文庫)