鳥羽徹『オルキヌス 4 稲朽深弦の調停生活』(GA文庫)

 打ち切りか、好きだったのになぁ。すべての謎解きや解説を地平線の彼方に投げ捨てて、清々しいまでの「俺達の戦いはこれからだ」エンド。しかも本編は194ページで終わってあとは再録短編。いやまぁ雑誌掲載短編をきちんと単行本化してくれるのは嬉しいんだけど、クラクラくるほどのコストパフォーマンスだなぁ。
 掛け合いの会話も楽しいしギャグは高密度、*1 律儀にきちんと伏線や小道具を配置した上で、「そんなんありかよ」と叫びたくなる頓智と口車の大技で一気に丸く収める、なかなかに他ではちょっと見ない面白い作品だったと思うんだが、やっぱ売れ線を外しすぎたのが敗因なんだろうなぁ。舞台は現在日本でなく主人公は「平凡な男子中高生」どころか女性職業人、異能は皆無で武器は頓智と口車、恋愛要素ゼロ、いわゆる「萌えキャラ」は皆無、*2 ……せめてあんまり外道な魔改造を受けずに次作が読めますように。

*1:ただし「切れるギャグ」というよりは鈍器タイプ。

*2:「萌えるオルカ」はてんこ盛りなんだけどな。