鮎川歩『クイックセーブ&ロード 3』(ガガガ文庫)

 いやぁ、死んだ死んだ、いっぱい死んだ。主要登場人物のうち何人かは不幸のどん底だし、にもかかわらず爽やかで前向きとしか言いようのないエンド。いや、お見事。やっぱラノベの少年主人公たるもの、クライマックスで内面の成長をしてくれるのが何より。しかもそれが素敵な女性の導きによるものとなればなおさら。少々周囲に死体が転がったり自業自得でドツボに入る奴が出たって、そんなものは誤差の範囲だよな、うん。
 しかし、世界というか時空の構造やら能力者の存在意義に関する彼の推論が正しいとすると、同時代に二人出現したのは、一人目が無限ループに絶望するばっかりでなんの役にも立ちそうがないので、しょうがないから二人目投入、ってことなのかしら? なら、自分の内面なりごく近しい人間の問題だけにかまけてばかりだと、そのうち三人目でも現れて更にカオスになるのかも。

クイックセーブ&ロード 3 (ガガガ文庫)

クイックセーブ&ロード 3 (ガガガ文庫)