北沢慶『ソード・ワールド2.0 剣をつぐもの 4』(富士見ファンタジア文庫)

 次々と怒濤のごとく新情報・新設定が飛び出す中、あれよあれよとストーリーは進み、そしてそれ自体は結構好みなビターエンド。ま、見るからに打ち切りっぽいバランスの悪さではあるし、残念ながら基本的な筋立てが「ソード・ワールド2.0小説第一弾」に期待してた方向性とは外れたままであった。
 新米冒険者が、技能レベルに似合わない大きな世界的事件で重要な役割を果たしてると思ったら、やっぱり血筋だの魂の転生だのあれやこれやの「特別な背景」所持者ばっかりでした。ごく普通の人が知恵と勇気と根性で食らいつく余地はありませんでした。低レベル冒険者のごく日常的なミッションを地に足をつけて描き重ね、だんだんと世界観を読者に浸透させてから、おもむろに大きな話を持ってくる、みたいな長期的視野に立った作品展開、商売的には難しいのかねぇ。

ソード・ワールド2.0  剣をつぐもの4 (富士見ファンタジア文庫)

ソード・ワールド2.0 剣をつぐもの4 (富士見ファンタジア文庫)