猫砂一平『末代まで! LAP2 丑三つトライアングル』(角川スニーカー文庫)

 三号の境遇の無惨さにちょっと引いてしまう。なんと理不尽な。幽霊に論理性を求めるのも詮無いことではあるんだが。
 で、話に入り込めなかったせいか、なんというか、妙な「メタ」感を感じる。細かいギャグや妙な設定をこれでもかこれでもかとてんこ盛りにしつつ、本筋は「感情的行き違いなんかもあるけど、真面目にスポ根やって昇華する」という王道のストーリー。カバー裏の新聞に折り返しの4コマや前巻の巻末の楽譜など付加要素をこれでもかこれでもかと詰め込んできつつ、画期的に凄いわけでもつまらないわけでもなく普通に水準作な本編。どちらのレイヤーにも過剰さを感じるんだが、しかしそれがないと単に王道なストーリーを普通に展開する凡作、なんだよなぁ。うーん、2冊目ということでインパクトが薄れた分、「装飾過剰の凡作」になりつつあるような。もっととんでもない怪作を書けるポテンシャルの持ち主だとは思うんで、次巻の巻き返しに期待。