森田季節『不堕落なルイシュ』(MF文庫J)

 こらまた豪快に「変なもの」だな。ディストピア社会に於けるヘタレ主人公の純愛逃避行、かと思ったら社会派革命小説、かと思ったら壮大な家族喧嘩、かと思ったら宗教SF、かと思ったら子が父を超える長い物語のプロローグ……これで面白いエンタメとして読めてしまうってのが、まったくワケがわからない。いったいどういう脳みそをしてればこういうお話しがひねり出せるのやら。もっともあとがきを信じるなら、作者的にもどこかから受信した電波の産物であるようだけど。以前にこの人について制約抜きでやらせたら、更にすごいものを書くんじゃなかろうかと思ったことがあるけど、その片鱗ぐらいは見せてもらったかな。
 で、それとはまったく別に、だから、兄さんは堕落しているのですという決めフレーズを見た瞬間に妹≒R・29号(アール・デコ)という連想が働いてしまって、涙珠がどこでボケるかを最後まで楽しみにしていた、このワクワクはどうしようかしら。やはり、涙珠がボケ倒す続刊を待つしかないのかしら?

不堕落なルイシュ (MF文庫J)

不堕落なルイシュ (MF文庫J)