葉村哲『おれと一乃のゲーム同好会活動日誌 その1 ごく個人的な世界の終わり』(MF文庫J)(透明部ネタバレ)

 あらすじ等から「この作者の新作だからとりあえず読むけど、そろそろ日常部活系も食傷気味だな」とか思いながら読み始めてぶっ飛ぶ。異能バトル、ただしその異能を振るうべき使い途はありません、って斬新すぎ。そしてあとがきに記される編集氏のあまりの辣腕ぶりに感動。名伯楽ってのはまさにこのことを言うのだな。pp.194-195の感動的な分析眼が作者の能力の反映であるとして妄想するに、この作者が素で書くと『ふたりぼっち』になって、『天川さん』や本作の日常ハーレムラブコメ要素は、いろんな既存作品を分析した結果を踏まえて理で書いてる、という感じなのかしら。
 ま、これだけ天然なキャラが理詰めで書けるんだとしたら、それはそれで凄い腕前なんだろうな。とりあえず、天然ジゴロ体質については雪道くん並みかそれ以上だということがよく分かった。「すげえな、十五倍美味いお茶がおれの目の前にあるのか」なんて台詞が素で出てくるとは、宗司くん畏るべし。