多崎礼『夢の上 1』(C★NOVELS Fantasia)

 今回は更に徹底して架空年代記路線を突っ走るみたいだな。1パートごとに主人公と中心人物を切り替えてくるのか。さすが、全3冊をきっちり書き上げてからの順次出版ならではの手法だよなぁ。なおかつそこへ萌え的にも燃え的にもとんでもなく美味しいシチュエーションと台詞を入れ込んでくる、しかもその台詞を口にしてる当の本人は萌えと燃えから一番遠いところにいるのが、なんとも実にお見事。

「君って、名乗りを上げている間にバッサリ斬られて、真っ先に死ぬタイプですよね?」

 そして、『煌夜祭』の実績に鑑みるに、あと何編かの中編でそれぞれ一見して別の、ちょっとだけリンクしてるようなお話が語られて、そして最終章でそれが一気に繋がり編み上がって凄いお話しになるんだろうなぁ。いやもう、実に楽しみ。

夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)

夢の上〈1〉翠輝晶・蒼輝晶 (C・NOVELSファンタジア)