デスマーチ [書評]第1回/SAFETY JAPAN/日経BP社

 書評そのものは、対象の本も読んでないし大規模プロジェクトなんてもんにも縁はないしで、俺的にはどうでもいいと言えばいいんだが、4ページ目にはとっても納得。


 「プロジェクトX」成功の原因は、プロジェクトを描くフォーマットにあった。つらいプロジェクト、成功への道は見えない。そこで「男たちの逆転をかけたドラマ」(だいたい番組開始35〜40分ぐらいだったか。「水戸黄門」を想起させる)が始まって、めでたくプロジェクトはうまくいく。

 少し考えれば、この構図が欺瞞(ぎまん)であることはすぐ分かる。「男たちの逆転をかけたドラマ」を仕掛けなければならないという時点で、すでにプロジェクト管理は失敗しているのだから。
 プロジェクト管理の失敗を、現場の過重労働でかろうじてカバーするというのは、決して誇るべきことではない。むしろ失敗事例として研究すべき対象だろう。

 なぜ「失敗しかけたデスマーチを男たちが救う」というフォーマットに感動し涙したのか。番組は終了したが、我々は忘れることなく考えていくことが必要だろう。なにしろ、9 to 5 の勤務を維持しても成功するのが本当に優れたプロジェクト管理というものなのだから。