万来堂日記2nd - 私は食い意地の張った魚である


 2点め。小説の著作権が特異な点は、知ることで消費が達成される商品であることだ。ほかの多くの発明などのアイデアは、それを知っても、応用や使用を伴わなければ価値が生じない。また同じ創作でも、音楽などは1度聴いて「知った」からもういらない、というものではない。小説も、何度も読みたい人は本を手放さないだろうが、それはごく一部のマニアであり、多くは、1度読んで、「知る」ことで消費される。
 なるほど、普通の物書きやと思うてたから違和感があったんやな。そもそも「私の本は読み捨て歓迎」というスタンスの御仁やったんか。*1
 ちょっとどこで読んだか掘り出せないけど、確か似たような発言をしたJASRACの理事RIJAの会長がおったな。「音楽は繰り返し聞かれるもので、そこが他の表現行為とは違うところであり、手厚く保護される所以である」ってな感じの論旨。そんときは「こいつ何様のつもりや」と思ったんやが、逆にここまで誇りも何もない発言ってのも、なかなか情けないもんやね。

*1:どうやら長く書き続ける気もないようやし、創作・表現への欲求と誇りを持つ他の物書きさんと一緒にしたらあかんのやね。