三木遊泳『カレイドスコープのむこうがわ 2』(電撃文庫)

 こういうほわっとした話は好きだし、「これに続きを書くのは野暮だ」(あとがきより)という漢前な決断に惚れそうです。ええなぁ。ま、最初っから全十話で構成し直せばもうちょっとバランスの取りようはあるような気もしないでもないけど、それを短編小説賞受賞作に求めるのは無いものねだりやろうな。
 しかし、このラストで「悲恋では?」「消えちゃうのが残念」って感想を散見するのが結構意外。これって王道なパターンで、失ったものを取り戻すのは理論的には不可能なはずだけど想いの強さが勝るか、ゼロクリアされたんだけどやっぱり赤い糸の力は強大で落ち着くところに落ち着くか、のどっちかしかないでしょ。で、それがあまりにも当たり前でベタすぎるんであえてここで寸止めしたんだと思うなぁ。