かぐやは地上から見えるか(背景が黒い場合編)

 昨日のエントリの続き。かぐやの形状と材質(反射能)を元に計算なりシミュレートなりが可能だとは思うんだけど、俺の能力を大きく超えるって書いたけど、シミュレートしなくても見積もれることに気がついた。地上から観察できる人工衛星の実例を元に、それがかぐやの距離と大きさならどうなるかを外挿すればよいのだ。
 いくつかのサイトを元に、大きめの人工衛星等の光度(等級)などをまとめると↓のとおり。

  人工天体のページ 人工衛星を見よう 軌道高度(km) おおざっぱな大きさ
国際宇宙ステーション(ISS) 0 -1〜2 400 完成時100m×70m
ハッブル宇宙望遠鏡(HST) 2.7〜4.0 2〜3 600 長さ13.1m
スペースシャトル(STS) 1 -1〜3 185〜578 オービタ全長37.23m、翼幅23.79 m

 これをおおざっぱにがばっと平均すると、450kmぐらいの軌道に乗ってる差し渡し40m弱の物体が1等級ぐらい、でまあまあ良い線だろう。地球の半径を6400kmで観測地を北緯35度とすると、赤道上空450kmは余弦定理より直線でほぼ4000km。
 さて、かぐやまで38万kmとすると距離は95倍、よって面積あたり光度はおよそ1万分の1。大きさを2.1m×4.8mとすると差し渡しはおおざっぱに10分の1、よって投影面積は100分の1。合わせると光度は100万分の1。したがって等級では15等の違いになるので、地球から見たかぐやは16等級ぐらいだろうと見積もれる。
 天体望遠鏡入門によると望遠鏡の極限等級は主鏡の有効径をD[mm]とすると1.77 + 5 log D(logは、常用対数)だそうなんで、16等級を見るためには約700mmあればよいことになる。
 ということは個人ではちょっと無理、ただしドブソニアンなら何とかなるかも。*1 天文台なら大概は何とかなる、くらいか。なんというか、ちょうどチャレンジしがいがあるかもしれないところですね。
 元ネタの月面を通過する「かぐや」を視認するという希望は無理っぽいけど、小惑星掩蔽みたいに月の縁から出てくる(または縁へ入っていく)姿の連続写真とか、あるいはタイミング的に撮影可能な周期に合わせるのがめちゃめちゃシビアだろうけど、明暗境界線付近で月の夜をバックにして横から照らされるかぐやとか、*2 どっかの天文台で挑戦してくれないかしら。

*1:もっとも、ドブソニアンじゃ追尾は困難を極めるでしょうね。

*2:例えば半月よりもうちょっとだけ欠けた月齢で、かぐやの軌道面がちょうど地球からの視線と平行になるタイミングなら、直下の月面はすでに夜だけど100km上空のかぐやにはまだ太陽光が当たってる、という状況が発生するはず。