多崎礼『〈本の姫〉は謳う 2』(C★NOVELS FANTASIA)

 上手いなぁ。話も良いし、これだけ場面と視点を切り替えながらまったく混乱せずすらすら読めるってのもすごい。セラの口調も、ここまでで想像してきた性格とのギャップが素敵だし。ただまぁ、「『スタンプ』を基盤とする技術文明」への違和感は、前巻に引き続き残ってしまった。
 あと、もうちょっと刊行ペースが何とかなれば。前回のあとがきによれば既に全体が一応は書き上がってるようだし。今回も途中で何回か前巻を紐解きに戻らないとわけが分からなんだが、これだけ時系列と人間関係が絡み合ってくると、次巻を読むときはさらに大変そう。もっとも、途中で打ち切りの可能性にビクビクせずに安心して読めるだけでもありがたい限りではあるんだが。ぜひ某社とか某社とか某社にも、C★NOVELS FANTASIAを見習って欲しいものです。

“本の姫”は謳う〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)

“本の姫”は謳う〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)