赤松中学『緋弾のアリア Ⅲ 蜂蜜色の罠(ハニー・トラップ)』(MF文庫J)

 モードが切り替わらない限りは一般人プラスαレベルと、名探偵の子孫のくせに超武闘派という組み合わせ、あからさまで露骨な伏線を出してもキャラクターたちは気付かない、という話の進め方をするのに便利だな。伏線は意地でも回収する作者だけに、読者に伏線が気付かれない(のであとでの回収描写も理解されない)という悲しい事態を防ぐためのテクニックに違いない。
 で、ラストで明かされる、キンジの兄に関する驚愕の事実が、いろんな意味ですごい。こら確かに、滅多なことでは話題に出したくなくなるわけだ。ちょっと考察するに、「モードチェンジ型の異能は、自分の意志で自由に任意のタイミングでOn/Offできるかどうかで強さがまったく変わってくる」という一般論と、「ヒステリアモードは、そのトリガーも持続時間も性的興奮に依存する」という設定を組み合わせると、「遠山一族の男性は変態ほど強い」という結論が導かれることになるのだな。ま、さすがに次から次へと変態さんがゴロゴロでてくることにはならんだろうが、とりあえずはお兄さん最強、かな。でもいちばん怖いのは黒雪さん、本筋になんも絡まんかったのに。