逢空万太『這いよれ! ニャル子さん』(GA文庫)

 フォークの通用するニャルラトホテプ星人……うむ、これは確かにある意味で、というかある方向性では『デモンベイン』をも越えたな。むしろ『シスマゲドン』に並べられそうだ。主に方向性の斜め上さと小ネタの微妙な「一世代前」感で。*1 しかしまぁ、他人事ではあるんだが次回作が心配ではある。さすがにこれは一発ネタだろうし。まぁ潔くガチで殺すところが気に入ったんで、*2 『ニャル子対アバドン王』も読んでみたい気はしないでもないが。
 ところで、円錐のフォルムを持つ固体(ママ)が一対の翼を広げているという、アレとソレとを足して2で割ったような図版の載ってる、『クトゥルー神話読本』なんぞというありそうで存在しないタイトルの本がソファーの脇に置いてあるって、どういうご家庭ですか >主人公。念のため『クトゥルー神話読本』をAmazonbk1で検索してみたが、このタイトルでは一冊も引っかかってこないし、該当するフォルムで「宇宙人だ」と言われると意外に思えるような存在ってのもちょいと思い当たらん。まさか、これこそが、作中TV番組のタイトルとあわせ、「作中世界と我々の実在世界が、よく似てはいるが微妙に食い違う並行世界である」ことを表現するための、作者の巧妙なテクニックなのでは……

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

*1:ナイトゴーント道場とか冒瀆的な手榴弾(アンホーリー・グレネード?)とか……

*2:ただし、ちゃんと確実に宇宙的に死んでるのかどうかは定かではない、ような気もしないではない。