南井大介『ピクシー・ワークス』(電撃文庫) 2エントリ目

ハッキリ言って、これは頭のネジが二、三本抜けた狂人にして人格破綻者、社会不適合者にして紛うことなきマジもんの悪党、すなわちマッドサイエンティストどもが、己が趣味と好奇心と冒険心と享楽、欲望のままに踊り狂う、魔女の宴、ワルプルギスの夜の物語。

 なんかいろいろと納得。そうか、こういう見方をすればもうちょっと空戦よりはレストアの苦労話にページを振って欲しかったような気はするなんていう俺の感想がいかに的外れだったかわかるな。怖ぁい大人の人たちによって爪先で鳩尾蹴りあげられるみたいに、一発食らう以外のいかなることによろうとも、というかそれによってすら凝りそうにないのも、また確かなこの連中を描くのに、レストアごときで苦労されちゃ話にならんのだな、なるほど。
 となると次があるとしたら、これが発端で世界的規模の問題に発展したりとか、戦争起こったりとか、もっとドロドロした、政治と利権と主張と自由と欲望に振り回される夢あふれる展開のなかを世の中を舐めたまま渡っていく悪党どもを楽しみにすればいいのかもしれん。