小野不由美「落照の獄」(新潮社『yom yom』2009年10月号)

 ……システムには矛盾があります。状況はどうやら悪化しつつあるようです。人々は思い悩んでます。以上。いや、よくできた小説だと思うよ。崩壊しかけこれから荒れていく国を社会派的ネタ込めて書いて、それでハッピーエンドやカタルシスがあったらそのほうが驚くわ。
 しかし、いま十二国記の短編としてこれをやるか? 「丕緒(ひしょ)の鳥」の時のように作者の思いや状況がなんとなく行間にほの見えるようでもなし。本編が順調なペースで発行され続けてる状況下で、各国の様子を描く話を集めた華胥(かしょ)幽夢(ゆめ)みたいな短編集のうちのひとつならこういう話もありだとは思うけど、これがいまの作者が書きたいもの、餓え乾く読者へ与えたいものなのか……

どこか投げやりな劉王→主上
死刑を求める感情的な民→続編を求めるファン
狩獺→今回の続編

ということで。。。