瀬尾つかさ『円環のパラダイム』(一迅社文庫)

 うむ、これは良いものである。この先大風呂敷を広げまくる展開が続くも良し、よしんば売れ行き的に討ち死にしたとしても、一冊でもまた綺麗に格好良くまとまってるし。『クジラのソラ』の智香を彷彿とさせるキャラの言動にほっこりする間もなく、むしろ『琥珀の心臓』を思わせるエグイ怒濤の展開。やっぱこの作者、容赦なくエグイ展開を書かせると上手いわ。
 ところで、帯の煽り文句については特筆しておきたい。「荒廃した未来の地球で生徒会の生存をかけた戦いが始まる……」って、いったいどういう売り方をしたいんだよ、とか思いつつあとがきを見て愕然。マジか。

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)