大楽絢太『テツワンレイダー 1』(富士見ファンタジア文庫)

「悪いが、俺は、人間不信なんでな。人間と、人間じゃないものがいたら、そっちを信じさせてもらう」

 いやぁ、えらい作風変わったなぁ。おまけにどーも盛り上がりに乏しいまま進んだと思ったら、なんと一冊まるまるプロローグ。これ、前作を知らずに書店でいきなり手に取った人にはハードル高いだろうなぁ。もちろん15ページものあとがきもそのフォローのために紙幅をとったんだろうし、前作からのファンとしては、面白いものを書く人だと確信してるんで次巻も買うつもりだけど、それでもなんというか、この「血の温度の低さ」みたいな淡々とした盛り上がりのなさと、一方での容赦なさ、本書単体の評価としてはかなり辛いものがあるな。いつもなら容赦ない展開のお話はむしろ好みなんだけど、熱の籠もらない語り口でそれをやられると、かなりキツいもんだ。ま、同業者をして「ありえねえ! でも見てえ!」と言わしめたこれからの展開に期待。

テツワンレイダー 1 (富士見ファンタジア文庫)

テツワンレイダー 1 (富士見ファンタジア文庫)