新人さん、いまいち×2

しやけ遊魚『こもれびノート』(HJ文庫)

 イイ性格の人たちの良い話、ただしちょっと残念、みたいな。小説としては何が何だかわけがわからんが、良くできて面白い会話劇、というあたりかな。

 あちこちの感想を見て回ると『化物語』レッサーバージョン、という評価が頻出してるし、ヒロインの一人称からは「戯れ言シリーズ」を連想せざるをえないんだけど、話のばらけ方とわけのわからなさ的には、むしろ『ニンギョウがニンギョウ』かな。あんまり深く考えず会話にゆっくりと浸ればそれで良いような気もするんだけど、ふと素面に戻ると、嫌な話でもある(主に第0章)し、「結局何がどうなったんだ?」とツッコミを入れたくもある。が、この話にツッコミを入れるのは、これまた天然に躱されるだけで無意味のような気もするな。これが『この広い世界にふたりぼっち』だと、「ちゃんと説明しきって全部が理に落ちるなんて、それは野暮だ。このわけのわからなさが良い」となるんだが、そこまで突き抜けてもない。うーん、「小説としては」誉める気には残念ながらなれない、というのが正直なところなんだけど、切っちゃうには惜しいなぁ。

新井円侍シュガーダーク 埋められた闇と少女』(角川スニーカー文庫)

 充分に上手い。水準以上には面白い。「バトルかと思ったらひたすらダメージを受けるだけ」というエグさはなかなか斬新で素敵。印象としては紅玉いづきか黒乙一か。

 でも、この売り込み方は、なぁ。この作品内容で、あたかも「ハルヒmkII」みたいな売り込みって、よっぽど苦しいんだなぁとしか思えん。潰されないと良いんだが。次も既に、この終わり方から繋げる2巻と決まってるみたいだし、大丈夫かね。((まさかと思うけど、妙にあっさりとしたハッピーエンドになってるのが実は営業上の要請で、本来はもっとダークで苦いエンディングだった、とかじゃないだろうね。なんかそっちのほうが似合う気もしないではないんだが。)) というかあとがきを見てむしろ本編の余韻が薄れてしまったような。このラストで綺麗に終わらさずに次へ続けるの?((世界だけが同一でまったく別の話、とかなら可能だろうけど。)) 次は評判待ち、かな。