山口幸三郎『神のまにまに! 3 真曜お嬢様と神芝居』(電撃文庫)

 いやぁ、楽しい。相変わらずへっぽこ様を見てるだけで和む。しかし、人永くんに口車と悪知恵以外の妙な特性が加わったり敵対者が出てきたりってことは、その陰謀と闘うって方向へお話しが向かうのかしら。だとするとちょいと悲しい。楽しい掛け合いとちょっといい人情話を織り交ぜながら日本全国の神話を巡る、人永くんとへっぽこ様の漫遊記をのんびりと楽しみたいものだ。せっかく雑誌掲載短編も収録してくれてるんだし、せめて短編ででも珍道中が続きますように。
 ところで、上の方の派閥的な不穏な動きがどうの、政界と財界の間のやりとりがこうの、なんて生臭いことを書かれると、そういうことを気にする話ではないと思いつつも、設定マニア的にはどうしても考えてしまうな。この世界の日本以外はどうなってるのかしら。他の多神教信仰でも似たような騒ぎになってんのか、そして一神教文化圏ではなにがどうなってるんだろう。特に後者で、神が実在すると広く知られ、かつ、神が現世に留まるか否かが一人orごく少数の人間の口車にかかってるなんて状態になってたら、とんでもない騒ぎになりそうなもんだが、さて。