超光速: マツドサイエンティスト・研究日誌、★JAXAで超光速の話をしてきた - 2010.3.3 - 前野[いろもの物理学者]昌弘のページ:日記兼更新記録

長い時間の話で、内容は種々様々になったが、要約すると人工的に超光速を実現する障害として
 (1) 因果律に反する。これは「特異点を生む」と同義。
 (2) 特異点を発生しないで、超光速を実現するにはエキゾチック物質が必要。
の2点に尽きるらしい。

それで、超光速を実現するには、
 (A) 特異点が生まれない、もしくは生まれても害がないことを示す。
 (B) 特異点とエキゾチック物質の関係を示す理論の反証をする。
 (C) エキゾチック物質(マイナスの質量orエネルギーを持つ物質)を見つける。
のいずれしか方法は無いらしい。(A) 〜 (C) の どれもとてつもなく難しそうだ。

 さあ、こういうお話を読むと天の邪鬼の血が騒ぐ。(A)の一つ手前として、「因果律に反する現象はこの宇宙では絶対に起こりえないのか?」ってのはどうなんだろう。当然それは↑の(1)から「では特異点が存在してはいけないのか」と同義なわけだ。
 もちろん、特異点が存在したり因果律が破れたりすればそこでは物理法則が適用できずわけのわからないことになる、という説明はよく聞くけど、これも、そういうわけのわからん状態になってはならない理由は、と突き詰めれば同じことだよな。結局のところ因果律の破れや特異点を禁ずる理由って、「物理法則の適用外なんて(もの|ところ)があったら気持ち悪い」以外にあるのかしら?*1

*1:もちろん、「それは物理学の適用範囲外なのでここでの議論では無視する」というのは理解できるし、それはそういう議論の場においては当然だ。