「JAXA's」No.031「はやぶさ」を地球帰還へと導く イオンエンジン運用

 「神運用」だ「真田技術」だとか我々ギャラリーが浮かれてるとき、中の人たちはこうなんだ。なんというか、「運も実力のうち」と言いたくなってみたり。

國中 そうですね(苦笑)。でもマジックなんてものではなく、これは偶然です。そもそもイオンエンジンは、エンジン効率の指標である?比推力〞でいうと3000秒のオーダーという、H│?A/Bロケット第1段のLE│7A(約450秒)に比べても、ひと桁高効率のエンジンです。それがキセノン生ガス噴射だと10秒かそこいらですから、屈辱的なほど低効率の運用方法なんです。たまたまガス残量に余裕があり、たまたま4つの中和器が姿勢制御に使える方向を向いていた。本当に偶然なんです。

ということで、こうなったらもういっちょ、実力で運を引き入れるところを見られますように。

 カプセルの切り離しやビーコン信号(電波による位置通報)の電力は、すでに設計寿命をはるかに超えているリチウム一次電池を使うことになるが、事前に電圧の確認は行っていないという。「調べることはできるが、ダメとわかっても打てる手はなく、調べることで電圧も低下してしまう」からだ