渡航『あやかしがたり 3』(ガガガ文庫)

 レギュラーキャラがみんな可愛いなぁ。ハードボイルドでダークサイドを気取ったわずか数ページ後には捨て犬として拾われる主人公といい、醤油を飲み干して密航するお二人といい。んでもって実に格好いい。いわゆるセカイ系の真逆、己の信念を貫くためなら、大局的な状況を見て国のために動いてる奴の思惑なんか知ったことか、実にわがままでよい。
 ただ、ちょっと地の文での心境説明が多過ぎな気はする。もちろん説明不足でも困るし、かといってぺらぺら説明台詞を口にされてもハードボイルドじゃなくなるんで、バランスの難しいところだろうけど。あとやっぱりキャラが口にする単語が気に掛かる。もちろん史実をモデルにしただけの架空世界のお話しではあるんだけど、幕末期に「次元」って……

あやかしがたり 3 (ガガガ文庫)

あやかしがたり 3 (ガガガ文庫)