今回の事業仕分けも凄いなぁ。

さきほど光ルータの話がありましたが、もし仮に、明日光よりももっと速い、光を使わなくても速くて、熱効率も良くてですね、そうしたものがどっかからポンと出て来た時に、これは続けられるんですか? こうした事業というのは?

 特にこの発言が二重三重の意味で凄い。
 まず、もし仮に、明日光よりももっと速い、光を使わなくても速くて、熱効率も良くてですね、そうしたものがどっかからポンと出て来た時という発言そのもののインパクト。理論物理の学会でならともかく、実用的な技術開発について真面目に論じてる場所での発言としては、まさに「その発想はなかった」のトップクラス。ま、『ムー』愛読者がトップに立ち、医療政策に於ける真面目な検討の対象に代替医療が出てくる政権だってのに、何を今さら驚くことがあるんだよ、という気もしないではないが。
 次に、このレベルの人間が仕分け人として技術開発事業の必要性を判定できると思ってるのが凄い。素人さんが雑談してるのとはわけが違う。国家の技術政策の方向性について議論してる場に「超光速技術がポンと出てくるかも」*1レベルの人間が識者づらをして混じってるなんて、情けなさ過ぎて涙が出てくるわ。しかもたぶんこれ、言った本人は「鋭い指摘をしてやった」と得意になってそうなのがさらに悲しい。
 で、一番凄いと思うのが、この「もし○○が出来たら、××という事業は必要なのか」という設問を、○○の実現可能性を度外視して発し、それに対して××の必要性を論証できなければ予算カットや事業打ち切り、というロジック。こんなんがありなら例えば

○○ ××
すべての子供を持つ世帯に「打ち出の小槌」を配布 子ども手当や高校無償化
「どこでもドア」を量産し必要な箇所に設置 高速道路無料化と新規建設
安全確実安価な気象制御技術の実用化 CO2排出量の25%削減
国民の意思の力を集積する巨大ロボット型無限エネルギージェネレーター 屋根に太陽電池のせての売電を大規模に実施

みたいなケースについて、ぜひ現政権の政策を支持する立場から論証を試みて欲しいもんだ。
 前回の仕分けみたいに、そもそも目先で短期の収支こそが至上の価値判断基準、基礎科学や要素技術開発で先端を行くことの意義はよほどプレゼンが上手くない限りは考慮しない、故にバッサリ、ってのは、もちろん同意する気はないけどそれはそれでロジックとしては筋は通ってる。*2 しかし今回のこれ、あり得ない前提に対しての論証を要求してるんだもんな。机上の論理のお遊びとしてすら落第だよ、こんなもん。

391 ギバチ(香川県) :2010/04/28(水) 23:32:15.87 ID:LQdpILWt
 仕分け人:
 もし仮に、明日仕分け事業よりももっと巨額の、
 仕分けをしなくても、何のデメリットもない財源、そうしたものがどっかから
 ポンと出て来た時に、これは続けられるんですか? こうした事業というのは?

*1:m/sの速さの話じゃなくbpsの速さのことだ、としても話は変わらない。相互接続性がもっとも重視されるジャンルである通信機器についての議論で、先端の開発者が誰も想像だにしてない技術が「明日ポンと」出てくるなんてあり得んよ。

*2:むろん、法人税/事業仕分け - Scott’s scribble - 雑記。の最後の段落にあるように、スジが通っとりゃいいってもんでないのは当然。